広島県歯科医学会にて、TPC(舌姿勢補正器)を発表

 FBに昨年、一部アップしていた内容ですが、遅ればせながらここでもアップします。2015年11月8日第54回広島県歯科医学会にて、TPC(Tongue Posture Corrector舌姿勢補正器)の概略を短い時間ですが口演発表させていただきました。

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 内容はブログで発表している情報のダイジェストです。さて何人の歯科医が興味を持ってくれたかな?低位舌によって引き起こされる問題と、TPCの有効性を知っていただきたいです。

 まずは、歯科医学会の資料に載せた、抄録です

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おしゃぶりからヒントを得た新発想マウスピースTPC(舌姿勢補正器)
河田眞樹(三原市)

私は顎関節に興味を持って30年近くなりましたが、赤ちゃんの舌とおしゃぶりの関係を考える中でヒントを得て、顎関節症の原因の一つと考えている低位舌を改善するTPC(舌姿勢補正器Tongue Posture Corrector)を2年前に考案し臨床応用しておりますので、その概要を紹介させていただきます。

 TPCは上顎歯口蓋側に沿ってU字状に口蓋を覆うノンクラスプのレジンプレート型マウスピースです。切歯乳頭付近から下方に向かって突起部を付与し、歯の咬合面を全く覆わず対合歯である下顎歯に全く接触させないように作ります。

咬合に関与させないのに顎位をコントロールできるのかと疑問が湧くと思いますが、舌の姿勢改善により概ね目的を達成できます。突起部に舌尖が触れやすく作りますので、舌が自然に前上方に誘導されて低位舌が多少補正されます。すると多くの患者は
1下顎骨がやや前方に移動し、上下の臼歯はごくわずか離開します。
2上下唇が軽く触れるようになり、口呼吸から鼻呼吸に移行します。

この二つの変化により患者の持つ多くの不快症状が改善します。主たるものはTCH(歯列接触癖)、顎関節症、歯軋り、いびき、睡眠時無呼吸症候群、ドライマウス、口呼吸、嚥下障害などに効果があると考えております。あまり多くの症状に効果があると何か胡散臭いと思われかねませんが私的には事実です。症例によっては効果を上げるために、舌尖を突起部に触れるようにかなり意識してもらったり、あいうべ体操などの舌のストレッチや口唇閉鎖を促すテープなども併用します。

未だ試行錯誤中でEBMのかけらもない臨床医の発表ですが、装着が楽で、いつでも噛めるけど不必要に噛まなくなり、口が閉じる面白い特徴に、多くの先生が興味を持っていただきまして、臨床におけるツールの一つとして活用していただけたらとても嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。

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 次は発表のデータです

  右下角にあるアイコンボタンをクリックすると、別画面になり拡大されます
  そして右下角から4番目の ノート をクリックすると説明文付きになります

 

前 TPC8 へ       TPC11 へ

 

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TPC(舌姿勢補正器)でTCH治療8 患者アンケート5 (6ケース)

 難症例とおぼしき患者様にはTPCをほぼ試していただいたので、この頃は症状が少し軽い症例へのセットが多くなっています。症状が軽いとTPCの効果も認知されにくくなり、TPCのご利益も感じにくいようです。

 そんな中ドクターショッピング何年という方が新規でいらっしゃいましたので、すぐにTPCを作ることにしました。そしてTPCをセットしたらすぐに「あっ!なんか楽!」と言いましたので、そんなにすぐ効くのか?こっちがビックリしました。次回来院時には「医者巡りから開放された」と言ってくださり、さらに「いろいろ症状が改善したけど、特にどこに行って検査&治療しても治らなかったひどい耳鳴りが殆ど治り、心安らかになってきた」とのこと。今は食事以外TPCをセットしているそうで、喋るのも慣れて問題ないそうです。TPC最高の結果ですが、こんな方がどんどん出てきたら歯医者冥利ですね。
 \(^o^)/  
今回のアンケートの最後6ケース目の方です。

 あと、2ケース目の方は20年以上通院してくださっている患者様ですが、左右下顎6番が子供の時に喪失しておりバイトが不安定なケースでして、TCHをコントロールしながら何とかPの進行を遅らせてきました。今回TPCをセットしましたら、肩こりが減ったし、よく眠れるようになったということで喜んでいただけました。肩こりが減ったということは、TCHが改善したとみていいので、Pの進行にも良い影響が出ると思います。

 いろんな患者様の経過を聞いていると、肩こり、睡眠、口の渇きなどの改善は多くの患者様が自覚しやすいもののようで、この辺りをアピールするのがコツかな?と感じています。

 あと、まあ良い歯並びだけど少し過蓋咬合の中学生で、残念ながら7番がクロスバイトになっているよくあるケースに、咬合斜面板の代わりにTPCをセットして、クロスバイトが治らないか?経過観察中です。


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 上の写真は年季の入った拡大床装置で拡大は殆どに終わっていて、あとは下顎を近心に移動させようと斜面板として改造しています。ただ床装置は舌に対してはマイナス要素が多いので、途中から斜面番部の口蓋側側を削って凹み(緑色に着色した部)を作りTPCもどきにしてみました。多少なりとも舌の位置が良くならないかなーと実験中です。本当はT4Kなどを入れた方がいいのですが、床装置に慣れてしまった子は今までと違う装置であるT4Kに違和感を感じ嫌うことが多いし、保護者が追加料金の負担を受け入れてくれないことも多くて、苦肉の策でもあります ^^;

 

 

                                  アンケート結果 

             前 TPC7 へ  後 TPC9 へ 

 

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TPC(舌姿勢補正器)でTCH治療 4 患者アンケート

最近セットした患者さんにアンケートをお願いしました
      (最下部のリンクよりアンケート結果をご覧ください)

思った以上に効果が出ているようで嬉しいというよりも驚きました
来年はもっと積極的に自信を持って症例を増やしたいと思っています
そして、多くの先生にも認めていただいて、患者さんに使っていただけたら嬉しいです

TPCをセットすると舌の位置が修正されますが
しだいにTPCを外した時も舌の位置が補正されている様になるようです
うまくいけば、最終的にはTPCがなくてもOKになりそうです
あいうべ体操などの舌の運動などを併用されたら、もっと安定すると思います

TPCのポイントは舌先を切歯乳頭付近にもってくることですので
それ以外はあまりこだわる必要がありません
ですから通常のマウスピースや上顎義歯にも
簡単にTPCの機能を付与することができます

「おしゃぶり」からヒントを得たので
TPCのキャッチコピーを「見えないおしゃぶり」としましたが
「噛めないバイトプレート」か「噛まないバイトプレート」も
意外性があって面白いかなと思うようになりました

以下のリンクをクリックするとアンケート結果をご覧になれます
術前、術後を併記していますが、赤のマーキングが術後です

 

アンケート結果

 

   前 TPC3 へ

           後 TPC5 へ 

 

                               TPCトップ へ

TPC(舌姿勢補正器)でTCH治療 3 セット方法

TPCをセットする時にまず気をつけることは
とにかく対合歯に当たらず、咬合に関与させないように調整することです
次に、舌に当たる部分が、舌に対して受け入れられる形態かということです
研磨がしっかりされていれば、殆ど問題はないと思います

そして、暫くの間は舌先をTPCに当てるように意識してもらうように指導して下さい
また、就寝前には「寝ている時に舌先があたっていますように」と
1分位お祈りするようにご指導下さい。

最近は歯軋りや食いしばりをする方が多いので
夜にも使える大きなタイプばかりになりました
ピンクレジンの部位は削合可能な部位です

TPC11

そのために昼は少し喋りにくいけど仕方ないです
日中のTCHの患者様も夜間の歯軋り、食いしばりもありえますので
大きい方がいいかなと私も思うようになりました
大きいのを削って小さくするのは簡単ですから

最後に、TPCだけでなく舌の体操をしていただいた方がいいですね
岡崎先生の松風の連載にもありましたが
今井先生の「あいうべ体操」はおすすめです

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また、大きくてもまだ心配される患者様には単純鉤を最後臼歯にかけるとか
上顎全歯の唇側、頬側に連続して接する弧線を使えば良いと思っています

 

 前 TPC2へ

           後 TPC4 へ 

 

                               TPCトップ へ

 

TPC(舌姿勢補正器)でTCH治療 1

 私は顎関節に25年以上興味を持って臨床に携わってきましたが、 1年ほど前から臨床応用している低位舌を改善する器具をご紹介させていただきます。主にTCHや歯軋り、顎関節症の症状緩和にと考案しましたが、低位舌は多くの問題を起こすので、SAS(睡眠時無呼吸症候群)、ドライマウス、嚥下障害などにも応用し始めています。ただ症例はそれほど多くはありません。名称はまだ決まっていませんが、ここでは暫定的にTongue Posture Corrector舌姿勢補正器、以後TPC)と称します。ちなみに愛称は「見えないおしゃぶり」です。いきさつは後日ご説明します。

見えないおしゃぶり 見えないおしゃぶり

 上の写真ではポイントになる突出部をわかりやすくするために透明レジンに赤色をペイントしています。また黒線はより小型の昼間用タイプの概形を示しています。

 さて、TPCは口蓋床部の切歯乳頭付近の位置から下方に向かって突出する突出部が設けられているため、舌尖が突出部に当たりやすくなります。

TPCzu

2…口蓋床部、3…突出部、102…切歯乳頭

 舌の位置が正常な人は、上記左図に示すように、安静時において舌背は口蓋の形に沿った位置にあり、舌尖は切歯乳頭に軽く触れるか、近接している。そして、上下の臼歯はごくわずか離れていて当たっていない。

 一方、歯牙接触癖(TCH)を有する人は、上記中図に示すように、舌の位置が下方に下がるという、いわゆる「低位舌」になっていることが多く、舌背と口蓋との隙間が大きくなり、舌先も切歯乳頭に接触しづらくなっている。このため口蓋と舌背との隙間が大きくなり、この隙間を補正しようと、無意識に下顎を挙上させようとする傾向がある。その結果、上下の臼歯等の歯列が接触することとなる。

 TPCは切歯乳頭の位置から下方に向かって突出する突出部が設けられているため、「低位舌」になっている人でも、TPCをセットすると軽い違和感により舌が動き、上記右図のように無意識に舌尖が突出部の内面斜面に接触しやすくなることにより、舌は本来の位置近くへ誘導され自然に低位舌の状態が改善することが期待できる。その結果、上下顎の臼歯が離れやすくなる。このため、顎の周りの筋肉の緊張が減り、胸鎖乳突筋や僧帽筋などが補佐する活動も減るので、頭頸部や肩が楽になることが期待できる。

 TPCの口蓋床部が上顎の最後臼歯まで沿うものであれば、装着されたTPCが外れにくいという利点を有する。このため、就寝中にも外れにくいことから、歯軋防止や無呼吸症候群の症状緩和(低位舌が矯正されることにより、気道が広がりやすくなり、その結果、無呼吸症候の症状が緩和される)の目的に用いることができる。

 一方、TPCの口蓋床部が上顎の小臼歯付近まで沿うものであれば、小さいので装着感が良好で使用者に違和感を与え難く、長時間の装着でも使用者に苦痛を与え難く、就寝時以外の時間にTCHを防止する目的として用いることができる。また着脱が極めて容易のため、TPCの最大の欠点である発音障害を、舌が器用ならばある程度克服できる。

 なを、開咬など咬合異常のある場合は、使用者の歯列の形状や咬合異常の状況等に応じて、適宜突出高さや全体の形状をカスタマイズして下さい。

 ところで私がネットで調べた限りでは 同じコンセプトのものはなかったですが、もしも既に同じような装置を存在するならば、ぜひお教え下さい。

特徴としては

  1. 咬合面を覆わないので、装着感が良い
  2. 咬合面に邪魔なものがないので、噛もうと思えば普通に噛める
  3. 装着しても外観は変わらない、但し発音しにくいので喋ると気づかれやすい

 でも、こんな簡単な器具で本当に効果あるの?
と疑問に思われるはずですので、ぜひ、ご自身がTCHや歯軋りでお悩みの先生に、実際にTPCを作っていただいて自ら検証いただければと思います。そしてご助言やご批判をいただけると嬉しいです。もちろん患者さんに応用して頂ければなお嬉しいです。

 即重レジンと好奇心さえあれば簡単に検証できますので、ぜひお試し下さい。そして、ご質問がございましたらメールをお送りください。TCHや歯軋りでお困りの患者は多いので、もしもこの装置が有効ならば、多くの患者に使っていただきたいと思っております。

 すべての患者さんがうまくいく訳ではないので、セットしてうまくいかない患者さんにはTCHの説明を再度して理解を深めてから「慣れるまで意識的に突出部に当てるように」とお願いして下さい。

 どうぞ、よろしくお願いします