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10年以上前からおしゃぶりがTCHにかなり効き目があると思ってきたのですが、説明してもやはり人目が気になるのか、家の中でも実際にしてくださる方は少なかったです。それで英語の切歯音で習った 舌を前歯に添える 方法なども伝えるのですが、こういった方法はTCHに対して問題意識が強い人でもすぐに忘れてしまい、なかなかうまくいかなかったので、「奥歯を接触させてはいけない」ことを思い出させる仕組み(リマインダー)をうまく作れるかがキーポイントになっていました。医科歯科の木野先生が推奨するポストイットを利用する方法は、人に知られても良い場合はとてもいい方法だと思います。とにかく五感を駆使したリマインダー作りが大切でした。
ところで、私は歯科医師になってすぐに総義歯が好きになりました。その理由は私が作った総義歯を患者さんは気に入らないと、すぐ外してしまうからでした。それでは悔しいので、いかに患者さんが総義歯をはめるように作るか、修正するかを考えるのが楽しかったからです。大げさに言えば患者さんと勝つか負けるかの真剣勝負です。こんな関係は他の歯科治療には無いと思います。
そんな総義歯にまつわる戦いの中で、一番難しい総義歯患者さんは顎関節が安定せず、舌の位置や姿勢に問題のある人だと思うようになりました。それから顎関節に興味をもつようになり、顎にまつわる研修会を多く参加するようになりました。当時は顎関節治療は大変な割には報われないことが多く、なるべく大学や口腔外科に送り、外科手術や補綴治療をしてもらい、自身では手を出さないのが賢明と考えられていました。しかし、紹介しても治療成績はあまり芳しくないと聞いていたので、好奇心旺盛な私は何か他の方策が無いかと調べていましたら、チャールズ・マクニールに辿り着き、自分の考えに近い内容だったので大変嬉しかったです。
それ以降もウロウロと模索しているうちに、カウンセリングにおいて、石幡伸雄先生の影響を受けた噛み癖の説明とTCHなどの説明をすることにより、治療結果がそれなりに向上してきたので満足していました。それでももっと能動的にできる治療法が他に何か無いかと考えていたら、今回の見えないオシャブリをふと思いつきました。どうしてもっと早く思いつかなかったのだろうという位、とても単純なものです。でも検証を重ねてみると、我田引水ですが有効だと思えるようになりました。
舌に当たる突出部の形態と舌との関係は微妙ですので、ご自身で経験していただきたいと思います。おそらく突き詰めたらかなり難しいはずです。ただ幸いなことに、患者さんはそれほど難しい要求はされませんので、とにかく舌が軽く当たりやすいように調整して下さい。研磨は大切ですが、突出部の内斜面に小さな突起を付けた方が舌を誘導しやすい場合もあります
私はアカデミックとは無縁の、どちらかと言えば一人よがりの田舎の臨床家ですので、間違った内容があるかもしれません。ですので、ぜひ、多くのご助言、ご批判をいただけたら嬉しいです。
よろしくお願いします
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